日本科学者会議東京支部武蔵野通研分会幹事会声明


アメリカ合衆国大統領ジョー・バイデン殿

抗 議 文

2022年4月23日

日本科学者会議東京支部武蔵野通研分会


貴国が未臨界核実験を昨年6月、9月に行っていたことに対し、私たちは「科学を人類に役立てて正しく発展させていく」立場から、強く抗議するものです。

核兵器のない世界」を望む世界の人々の熱意を背景に、国連総会で採択され、発効した核兵器禁止条約に背を向けている貴国が核兵器を無くす方向に政策を転換することを強く求めます。ロシアがウクライナを侵略し、核兵器による威嚇を行っている今、貴国の政策転換が果たす役割は絶大です。核兵器を地上から無くして人類と地球を救う方向に舵を切り替えるよう切望します。


在日ロシア連邦大使館 御中

ロシア連邦共和国 ウラジーミル・プーチン大統領 殿


ロシアは2月24日、隣国のウクライナに軍隊を侵攻させ、各地への攻撃を始めた。ウクライナの主権と領土を侵す侵略行為であり、断じて許すことは出来ない。私たちは、強く抗議するとともに、ただちに軍事行動をやめ、撤退することを強く求める。
さらに、プーチン大統領は、この侵略行為にあたって、ロシアが核兵器大国であることを誇示した。それは、世界に対する威嚇であり、決して許されることではない。私たちは、強く糾弾する。

2022年2月25日
日本科学者会議東京支部武蔵野通研分会幹事会

菅首相による、日本学術会議会員任命拒否に抗議し、

直ちに撤回してすみやかに任命することを求める


菅義偉首相は日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人の任命を、理由の説明もなく、拒否した。私たちは、このことに強く抗議し、拒否を撤回して速やかに任命することを求める。

日本学術会議会員の任命は、日本学術会議法第七条2項によって、「会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」となっている。「内閣総理大臣が任命する」という法律の意味は、憲法第6条1項「天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する」における「任命」と同義であり、従って、内閣総理大臣は、日本学術会議が推薦した会員候補を速やかに任命する法的な責任があり、拒否する権限はない。

今回の菅首相による拒否は、憲法と法律に基づいて政治を行うという立憲主義・民主主義の根本的原理を逸脱した違法な行為であり、拒否を撤回して、すみやかに6人を任命するよう求める。

日本学術会議は、アジア・太平洋戦争に科学者が動員され、協力したことの反省として、「政府から独立して職務を行う『特別な機関』」として、位置づけられて、1949年に設立された。
そのことは、2017年に日本学術会議が出した「軍事的安全保障研究に関する声明」の最初に明記されている。「日本学術会議が1949年に創設され、1950年に『戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない』旨の声明を、また1967年には同じ文言を含む『軍事目的のための科学研究を行わない声明』を発した背景には、科学者コミュニティの戦争協力への反省と、再び同様の事態が生じることへの懸念があった。」そして、2017年声明は、「上記2つの声明を継承する。」としている。。
菅首相による今回の6人の会員任命拒否は、このような活動をしてきた日本学術会議の独立性を侵す政治的な介入であり、さらに6人の学問的業績を忌避したことであり、それは、学問の自由の侵害になる。戦前の滝川事件や天皇機関説弾圧が思い起こされる。時の政権が学問・学説に介入し、弾圧することはあってはならないことであり、憲法第二十三条「学問の自由は、これを保障する」に違反する行為である。
日本学術会議の独立性を保証し、「学問の自由」を侵害してはならないという面からも、私たちは、菅首相が日本学術会議の6人の会員任命拒否を撤回して速やかに任命することを、強く求める。

2020年10月14日 日本科学者会議東京支部武蔵野通研分会

アメ4リカ合衆国大統領ドナルド・トランプ殿

抗 議 文

2018年10月17日
日本科学者会議東京支部武蔵野通研分会

私たちは、貴国が未臨界核実験を昨年12月に行っていたことを10月11日の新聞報道で知りました。私たちは、「科学を人類に役立てて正しく発展させていく」立場から、強く抗議するものです。

「核兵器のない世界」を望む世界の人々の熱意を背景に、核兵器禁止条約が昨年7月に国連総会で採択されました。貴国はそれに背を向けているだけでなく、2月に「核態勢の見直し(NPR)」を公表して、核軍縮政策を核兵器の強化に切り替えました。そして北朝鮮には「非核化」を求めながら、自らは核兵器の強化につきすすんでいることには、道理も道義のかけらもありません。

私たちは、「被爆者は、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ふ゛ことを、すへ゛ての国に求めます。」というヒバクシャ国際署名に取り組んでいます。署名は冒頭で、「人類は今、破壊への道を進むのか、命輝く青い地球を目指すのか岐路に立たされています。」と、人類と地球の運命を見据えて訴えています。

貴国に対して、核兵器を無くす方向に政策を転換することを強く求めます。

〒113-0034 東京都文京区湯島1-9-15 茶州ビル9F
日本科学者会議東京支部気付け

北朝鮮の核実験強行に抗議する

1月6日、北朝鮮は「初の水爆実験に成功した」と朝鮮中央テレビを通じて発表した。核兵器廃絶という願いを踏みにじるものであり、厳しく抗議をする。北朝鮮は、2003年にNPT(核不拡散条約)を離脱し核保有を宣言、2006年、2009年、2013年と核実験を行ってきて今回で四度目である。
核兵器がいかに人道に反するものであるか、広島、長崎の被爆の実態が如実に示しており、世界の核兵器を全て無くすよう、私たちも願い、運動に参加してきた。国連で多くの国が核兵器廃絶のために粘り強く活動をしており、また市民や専門家集団や自治体レベルなど幾重にも核兵器廃絶の運動が日本でも世界でも繰り広げられている。北朝鮮の今回の核実験は、それらを踏みにじるものであり、強く抗議する。
同時に改めて、核保有国が進んで核兵器を廃棄するよう強く求める。そして、戦争法を強行した勢力が、北朝鮮脅威論をますますあおって、「戦争をする国」の態勢を強化することに反対する。
2016年1月8日
日本科学者会議東京支部武蔵野通研分会

秘密保護法に反対する抗議声明

内閣府は9月3日、「特定秘密の保護に関する法律案の概要」についての意見募集を発表した。法案でなく「概要」であって細部が不明、しかも募集期限が9月17日というわずか2週間である点は、きわめて不親切であり横暴である。そして政府はこの秋にも「特定秘密の保護に関する法律案」(以下秘密保護法案)を国会に提出しようとしている。私たちは、政府のやり方に抗議し、秘密保護法はつくるべきではないと考え、そのことを強く要求する。

私たちは、科学が平和と福祉向上に役立てられるように、また環境を守り、貧困や飢餓、社会的不平等をなくし、公正で平和な社会の実現のために活動をしている。もちろん、基本的人権を尊重し戦争を放棄した日本国憲法を守ることもその一環として取り組んでおり、学問の自由、思想信条の自由を擁護することにも大きな関心を寄せている。

1.秘密保護法は軍事国家を作る一環であり、日本国憲法の精神に反する。
安倍晋三首相は、憲法9条を変えて国防軍を作ることを一貫して政治目標としている。また、集団的自衛権を現憲法の下で認めさせようと、政治日程にのぼらせている。これらの狙いは、アメリカの起こす戦争に日本も参戦できるようにすることである。日本国憲法は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」とうたっており、秘密保護法はこの憲法の精神に反する。

2.国民の知る権利を侵害し、国民弾圧に利用される危険性が高い。
報告書は、秘密とすべき事項として①国の安全、②外交、③公共の安全及び秩序の維持の3分野を対象としている。概要は「特定秘密」として防衛に関する事項、外交に関する事項、外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項、テロ活動防止に関する事項の4つを対象にしている。前2項は同じであるが、どのような法案が出されるか、不明である。秘密事項の指定は、報告書は「各行政機関等」、概要は「行政機関の長」としており、差違はない。これは、政府が恣意的に「特定秘密」の指定ができる仕組みである。
概要は、特定秘密を扱う職員の適性を評価するという名目で、調査項目7つを挙げている。①は「外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全への脅威となる諜報その他の活動並びにテロ活動(説明文略)との関係に関する事項(当該行政機関職員等の家族及び同居人の氏名、生年月日、国籍及び住所を含む。)」となっており、家族も対象とし、犯罪歴、薬物、精神疾患、飲酒、信用状態・経済的状況などをあげている。本人、家族、友人などが丸ごとプライバシーを調べられることになる。一応「本人の同意を得て」となっているが、「関係者に質問」「公私の団体に照会して」(金融機関、医療機関を報告書はあげている)報告を求めることができる、としており、歯止めにならない。国民生活の細部にわたって、警察が踏み込む危険性が高い。報告書は、「人的管理」という項目で24頁のうち実に6頁を当てている。
罰則について、概要は7行で示している。(1)特定秘密を扱うことを業務とする者が「故意又は過失による漏洩」をした場合は上限10年、特定秘密の提供を受ける者が「故意又は過失による漏洩」をした場合は上限5年、(2)欺き、暴行、脅迫する行為、財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為その他の特定秘密の保有者の管理を害する行為による特定秘密の取得行為を処罰する(上限10年)、(3)未遂、共謀、教唆、扇動を処罰する。何が特定秘密かわからない状況で、「過失」と言われて陥れられる危険性があり、未遂、共謀、教唆、扇動などは警察・権力側がどうとでも利用できる。歴史に学べば、これは、権力犯罪に利用される危険性がきわめて大きい。
以上、国民の知る権利を政府が抑圧し、また国民を弾圧することに利用される危険性が大きいと言わざるをえない。

3,大学や民間企業の事業所や研究所の研究も特定秘密に指定され、研究の自由が犯される危険がある。
報告書は、「秘密の作成又は取得の主体」として、(1)国の行政機関、(2)独立行政法人等、(3)地方公共団体、に加えて、(4)民間事業者・大学をあげている。「行政機関等から事業委託を受ける場合には」当該事業において作成・取得される情報は行政機関等が自ら作成・取得する情報と同一視し得る、としている。卑近な例でいえば、原発の過酷事故に関わる情報や研究なども、場合によっては対象とされることを危惧する声が起きている。研究者・技術者が適性評価の対象となり、家族を含めて身辺を調査される事態も予想される。研究所の職場に官憲の目がそそがれ、研究成果の発表や自由な討論が阻害される危険性を危惧せざるをえない。
以上の理由により、秘密保護法は作るべきではなく、政府に強く要求する。

※ 秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議の委員
縣公一郎 早稲田大学政治経済学術院教授 / 櫻井敬子 学習院大学法学部教授 / 長谷部恭男 東京大学大学院法学政治学研究科教授 / 藤原靜雄 筑波大学法科大学院教授 / 安冨 潔 慶應義塾大学法科大学院教授 /

2013年10月1日
日本科学者会議東京支部武蔵野通研分会

北朝鮮の核実験強行に対する抗議声明

2月12日、北朝鮮政府は3度目の地下核実験を強行した。
核実験強行は、「すべての核兵器及び各計画を放棄」し、核実験の中止を求めた国連安保理決議に反し、自制を求めた国際社会に挑戦するものである。また核計画の放棄を約束した6カ国協議共同声明にも背き、北東アジアと世界の平和を脅かす重大かつ愚かな行為である。 このような行為を繰り返すことは、北朝鮮が益々国際的な孤立を深めるだけであり、北朝鮮の政府と国民にとって何の得策にもならないことを知るべきである。
唯一の被爆国に住む私たちは、北朝鮮政府の核実験強行に強く抗議するとともに、核兵器及び核兵器開発計画を放棄し、即時・無条件で6カ国協議に復帰することを強く求める。
2013年2月22日
日本科学者会議東京支部武蔵野通研分会

北朝鮮の核実験強行に対する抗議声明

北朝鮮は2回目の核実験を行った。これは、国連安保理決議など、世界とアジアの平和安定への脅威として一致して反対した国際社会の意思を再び無視するもので、また6カ国協議や4月の安保理決議などの国際取り決めを蹂躙する暴挙である。
今日の世界の中で核兵器廃絶に向かう新たな機運が生まれつつある。今回の核実験は、そうした動きに対する乱暴な挑戦であり、北東アジアの平和と安定への重大な逆流である。唯一の被爆国に住む私たちは、北朝鮮政府の核実験強行にきびしく抗議するとともに、核兵器および核兵器開発計画を放棄し、即時・無条件で6カ国協議に復帰することを強く求める。
2009年5月26日
日本科学者会議東京支部武蔵野通研分会