令和 5(2023)年 4 月 27 日 日本学術会議会長 梶田隆章
日本学術会議が 4 月 18 日に政府に勧告「日本学術会議のあり方の見直しについて」を出し、4月27日に梶田会長のメッセージを出しました。重要な内容なので、日本学術会議のホームページより引用紹介します。JSA は、日本学術会議の協力学術研究団体です。
既に報道等でご存じのように、4 月 20 日、政府は検討中の日本学術会議法改正案の今国 会への提出を見送ることを表明しました。この間、拙速な法改正の動きや改正法案の内容 について、日本学術会議のみならず、多数の学 協会等から懸念の表明が続きました。さらに、 日本学術会議の歴代の会長や内外のノーベル 賞等受賞者からも拙速な法改正を思いとどまり、対話をすべきという声明が寄せられました。政府も「このまま法案を閣議決定した場合、学術界と政府との決定的な決裂を招く恐れもある」と、今回の見送りの理由を述べています。みなさまのご支援にあらためて感謝する次第です。
しかし、政府はこれを機に、今の政府案に加え、「学術会議自ら主張している 5 要件を満 たし、学術会議がその独立性の参考とする主 要先進国 G7参加国並みの制度・体制等を持った特殊法人などの民間法人とする案」も検討の対象とすると表明しています。また、日本 学術会議担当の後藤大臣は、総理から改めて学術会議と丁寧に議論し、早期に結論を得るよう指示されたと述べています。
日本学術会議としては、先日(4月18日)の総会において会員が全会一致で議決した政 府への勧告において述べているように、「日本 学術会議のあり方を含め、さらに日本の学術 体制全般にわたる包括的・抜本的な見直しを 行うための開かれた協議の場を設けるべき」と考えています。日本学術会議を政府機関に とどめるか、民間法人とするかという論点に限定せず、日本の学術の発展のために真に求 められることを、必要かつ十分な時間をかけ て検討するために、広く学術に関わる関係者 を交えた開かれた協議の場を作ることを求めていく所存です。
日本の学術を今後も発展させるために、そして、社会に貢献するという学術の役割を発揮するために、学術界と政府との間の信頼関係を回復することが今こそ求められています。日本学術会議は、2021 年 4 月に総会が決定し、公表した「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」に基づき、社会に対する責任を果たすために、自ら改革を着実に実行しており、 今後も続けてまいります。そして私は、日本の 学術の発展を実現し、社会において学術がよ りよい役割を発揮するための検討の場とする という強い決意を持って、これからの協議の場に臨みたいと考えています。